先週来日した、Dr.Ishengへ、Implicit解析において推奨する接触オプションを聞いてみた。
彼からの答えは、「モルタルコンタクトしかないしょ!!」 あるいは、「モルタルコンタクトしかないっぺよ!!」
Isheng訛ったか?? まあ、どっちでもいいのだが、答えはひとつ。モルタル接触なのだ。
恥ずかしながら、モルタルの名前は知っていたが、試したことはなかった。
そこで、数年前の資料を引っ張り出してテスト問題を作成、その結果をリポートする。
資料は、2010年、LSDYNA 971R5 当時(2010年)に掲載されていた。
・セグメント-セグメント接触、M.A.Puso & T.A.Laursen(2004年)
・陰解法における接触解析の品質と収束性の向上
・元々は陰解法用であったが、陽解法でも使える。MPP & SMP対応
・Automatic_S2S, Automatic_SINGLE_SURFACE & TIED S2Sで使用可能
資料にあった絵を見てこんな例題を作ってみた。
PART-1 と 2 は 辺・面接触、PART-1と3は辺・辺接触。静解析、TIME=100 (DT=1.0*100ステップ)が最終荷重
PART-1 と 2,3間には板厚以上の隙間あり。
PART-1を押し込んでいくと、PART-2、3との接触が外れる可能性あり。
詳細な計算条件は記載していないが、データが欲しい方は連絡頂ければ差し上げます。
最初にMortarなしで、接触タイプをいくつか選び、更に接触オプションAのSOFTを変更しながらテストを行った。
1、CONTACT_AUTOMATIC_GENERAL
SOFT=0 : Time=39.5で発散。CPU=433秒
SOFT=1 : Time=37.4で発散。CPU=451秒
2、CONTACT_AUTOMATIC_SURFACE_TO_SURFACE
SOFT=0 : Time=7.6で発散。 CPU=481秒
SOFT=1 : Time=7.6で発散。 CPU=415秒
SOFT=2 : Time=10.0で発散。 CPU=507秒
3、CONTACT_AUTOMATIC_SINGLE_SURFACE
SOFT=0 : Time=7.5で発散。 CPU=549秒
SOFT=1 : Time=7.5で発散。 CPU=577秒
SOFT=2 : Time=10.0で発散。 CPU=573秒
何と、従来手法では全て解けなかった。解けない問題ほど収束回数が増えて計算時間が長くなる。
長くなるのに、欲しい答えは出てこない、性質の悪い問題である。
4、CONTACT_AUTOMATIC_SURFACE_TO_SURFACE_MORTAR & SINGLE_SURFACE_MORTAR
セグメント接触なので、MORTARの場合、SOFTオプションは無関係。
SURFACE_TO_SURFACE_MORTAR : 完走。CPU=37秒
SINGLE_SURFACE_MORTAR : 完走。CPU=44秒
途中の変形状態、辺・辺は板厚効果なしで接触している。
視点を変えて、辺・面接触の様子。PART-2の板厚が考慮されている。
最終荷重での変形。PART-1.vs.2 の接触は辺・面から、面・辺の接触に変わっている。
結論:Implicitの接触は、MORTARしかない。こうなったら”_MORTAR” と書かなくても、デフォルトにして欲しいと思う。
“MORTAR” をつけると悩ましい計算でも楽しくなってしまうので、最後に押し込み量を2倍にして実験。
計算時間は、37秒から63秒に増えたが、あっさりと完走した。